アラサー、いよいよ「何者にもなれない自分」のままの人生が見えてきた。
noteやWEBマガジンに文章を書いてみたところで誰にも読まれず、文筆業で成功する未来は見えないし、かといってサラリーマンとしての出世は望むべくもない。
でも、まだ諦めきれない。後世に名を、自分が生きた痕跡を残したい。
そんな我々が苦し紛れに生み出した、起死回生の策とは!?
文筆業での成功は絶望的?
北山:このサイトをちまちま更新していても、あまり上手くいかないね。そもそも、記事を書くよりもっと高尚な創作がある気がしてきた。
高端:このサイトもいつかは消えてなくなるからな。なんとかして成功して、名を残したかったんだけども。
四ツ谷:文章は長く残る。かなり強度が高い創作だ。
でも、100年も経ったらほとんどが読まれないか。長く残って消えてなくならないといえば、「昔話」とか「伝承」の類いじゃないかな。小説なんかより長く残るし、すごい強度だ。
北山:あとは地名とかか。地名を創作できたら凄いな。
四ツ谷:そういえば、うちの近所に「八幡の藪知らず」って禁足地があるんだけど、あんなのも永遠に残るよね。ただの藪だから、建物が風化するみたいなこともないし。
高端:ただ「伝承」をつくると言っても、目に見えるなにかがないと説得力がないもんな。実際の土地を前に「この土地では…」と言われたら信じやすい。
未来永劫残る「禁足地」をつくろう
北山:にしても、「禁足地」ってめっちゃかっこいい。男のロマンじゃん。俺たちにも「禁足地」を作れないかな。
四ツ谷:また意味の分からないことを言い出した。
高端:そもそも「禁足地」ってどういう意味だろう。
北山:どうやら、ただ「入ってはいけない場所」と言うより、歴史・宗教上の理由で「入ってはいけない場所」である必要があるみたいだ。
高端:なら簡単だね。土地があればいい。歴史はそこから刻まれるものだし、宗教は自由に作ることができる。
北山:作ってみるか、俺たちの禁足地を。つまり「禁足地プロデューサー」になるわけか……。おそらく、有史以来初の職業だな。
四ツ谷:案外、そこいらにある禁足地も、はるか昔にプロデューサーがいたのかもよ。
テレコムセンターの禁足地!?
高端:じゃあさ、仮に禁足地を作るとして、場所はどこがいいだろう。面白いところがいい。
北山:やっぱりアクセスが良い場所にしたいな。じゃないと競合の禁足地に勝てないからな。
四ツ谷:競合の禁足地……。
高端:「寺」とかつくとそれっぽい。高円寺とか吉祥寺とか。昔から人が住んでいないとダメだから。
北山:逆に言えば、ゆりかもめ沿線はどこもっぽくない気がする。テレコムセンターとか。
四ツ谷:テレコムセンターに禁足地は渋いな。埋め立て地だし。
北山:実際問題、一坪でもいいわけでしょ。都内都市部でも買える土地があるんじゃないかね。で、そこが上手くいったらチェーン展開しよう。
四ツ谷:この場合の「上手くいく」ってなんだよ。
高端:うまく「禁足地」として認知されること。どうせなら収益化も目指したい。
北山:「一足入場1000円」とかでいいんじゃない?
四ツ谷:それは、禁足地なのか……?
高端:別に禁足地も永久持続的に禁足地である必要はないだろ。秘仏の何年に一度の開帳日みたいに開放される日があっても良い。
北山:だとしたら、あんまりやり過ぎてもありがたみがないな。1日1組限り、1万円でいくか。
四ツ谷:高級フレンチのようだ。
「禁足地コンカフェ」で爆儲け!?
高端:そして、フランチャイズ化も目指したい。ちょっと広い場所でできたら、「禁足地コンカフェ」でもはじめよう。
北山:「ああ、足を踏み入れてしまいましたか……」みたいなね。
四ツ谷:従業員はいいのかよ。
北山:禁足地と「未踏の地」は違うだろ。「入ってはいけない地」であるかどうかと、実際に人が入っているかは別問題だ。
高端:気になるなら、平均台の上でも歩かせればいいんじゃない?
四ツ谷:地面に足が接地しなければいいのか……。
高端:そりゃそうじゃない? 飛び越えるのとかはOKだろ。じゃないと飛行機とか宇宙船でも禁足地を侵していることになる。
北山:いいこと思いついたわ。君らと耕しにいったうちの実家の京都の畑、あそこを「禁足地1号店」(直営店)にしようぜ。京都だったら、なんか謂れありそうじゃん。
あの土地、全然管理できてないから売れないんだよね。ただの薮ってより、禁足地の方が売れる気がしてきた。
高端:商売の香りがするな。「あなたの土地、禁足地にします」みたいなことができるわけか。つまり土地の価値のロンダリング。なんか、ヤクザのやり口みたいだけど。
俺たちの禁足地「まだきの沢」爆誕!
四ツ谷:いいじゃん。まずは禁足地ネームから考えるか。「八幡の薮知らず」とかやっぱり魅力的だからね。
北山:「薮を知らない」って、意味は通っていない気がするけど、まあ雰囲気はあるわな。
高端:否定語は入れたいね。「不」とか「無」とか。
四ツ谷:「忘れじの〇〇」みたいなのは?
高端:作り物っぽいなあ。道の駅みたい。「忘れじの里 滋賀朽木」みたいな。
北山:「未来」で「まだき」って読ませるのはどう? 「いまだこず」って意味。
高端:おお、それっぽい。語感も不気味だし。
四ツ谷:なにが来ないの?
北山:それは、わかんねえな。あの土地、沢があるから「まだきの沢」にしよう。良い禁足地ネームだ。
「伝説」を考えよう!
高端:肝心なのは謂れだね。センスが試される。
四ツ谷:思ったんだけどさ、ウソはつきたくないよね。「誰かが死んだ」とか。
北山:わかる。人道的に禁足地を生み出したい。
高端:じゃあさ、「なんで禁足地かは分からない」くらいが興味惹くんじゃない?
北山:あーいいね。
四ツ谷:完璧じゃん。なにも嘘をついてない。
高端:次は植物かな。ぽい植物が生えていてほしい。
四ツ谷:禁足地プランツね。サボテンとかは?
北山:ぜったいに人が植えてるじゃん(笑)竹とかでいいんじゃないの?
高端:いや、それじゃあ競合の「八幡の薮知らず」と差別化できてない。榊とかでいいだろ。墓に供える植物だし。
北山:いいね。
四ツ谷:お、追加のエピソードが来た。それは本当なの?
北山:うん。俺のおじいちゃんだ。柚とか金柑育ててたし、小屋までつくってお茶とか点ててた。
高端:脚色が上手くなってきたな。
四ツ谷:なにはともあれ、有名な禁足地を学ぶ必要があるな。かの有名な「八幡の薮知らず」に行ってみよう!
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